自殺予防に関する研究としては、自殺に対する態度、自殺予防教育やゲートキーパー訓練、自死遺族支援、自死のサバイバーシップなどについて検討しています。
自殺へのスティグマや美化する態度を測定するための尺度を開発し、それらにどのような要因が関係するのかを調査しています。
特に後者の美化について、海外の方からは「腹切りや心中の文化があるから日本は自殺が多いのでは」という素朴な印象を持たれることが珍しくありませんが、本当にそう言えるかどうかきちんと調査を行う必要性を感じて検討を重ねています。
関連文献(例):
- 川本静香・川島大輔・白神敬介・川野健治 (2019). 自殺に対するスティグマ尺度日本語版作成の試み パーソナリティ研究, 27(3), 270-272.
- Kawashima, D., Kawamoto, S., Shiraga, K., & Kawano, K. (2020). Is suicide beautiful?: Suicide acceptance
and related factors in Japan. Crisis: The Journal of Crisis Intervention and Suicide Prevention, 41, 114-120.
関連プロジェクト(一部):
- 基盤研究(B)自殺への許容性についての心理学的検討と予防的介入(研究分担者)
自殺予防教育・ゲートキーパー訓練のプログラム開発やその効果検証に取り組んできました。
自殺予防教育については、立命館大学の川野健治先生たちと共同でGRIPプログラムを開発し、その効果を検証しています。
またゲートキーパー訓練については、オンライン教材を使った効果検証を行いました。
この他、教育・介入効果を検証するための尺度も開発しました。
関連文献(例):
- Kawashima, D., Koga, Y., & Yoshioka, M. (2023). Feasibility of brief online gatekeeper training for Japanese university students: A randomized controlled trial. Death Studies, 47(5), 531-540.
- 原田 知佳・畑中 美穂・川野 健治・勝又 陽太郎・川島 大輔・荘島 幸子・白神 敬介・川本 静香 (2019). 中学生の潜在的ハイリスク群に対する自殺予防プログラムの効果 心理学研究, 90(4), 351-359.
- 川島大輔・川野健治 (2012). 自殺の危機介入スキル尺度(SIRI)短縮版作成の試み 心理学研究, 83(4), 330-336.
関連プロジェクト(一部):
- 基盤研究(B)自殺への許容性についての心理学的検討と予防的介入(研究分担者)
自死で身近な人を失った人のグリーフと適応に関する実態を把握するために質問紙とインタビューを用いた調査を行ってきました。
その中で、死別の意味を探求し、見出すプロセスの重要性を指摘し、またそのプロセスに宗教性・スピリチュアリティや周囲との関わりがどのように影響を及ぼすのかについても検討を重ねてきました。
ケアのためのワークブックも作成しました。
関連文献(例):
- Kawashima, D., Kawamoto, S., Shiraga, K., Kheibari, A., Cerel, J., & Kawano, K. (2024). Suicide attitudes among suicide loss survivors and their adaptation to loss: A cross-cultural study in Japan and the United States. Omega: Journal of Death and Dying,
88(4), 1258-1274.
- 川島大輔 (2020). 自死遺族支援 グリーフ&ビリーブメント研究, 創刊号, 13-19.
- 川島大輔 (2014). 自死で大切な人を失ったあなたへのナラティヴ・ワークブック 新曜社
関連プロジェクト(一部):
- 若手研究(B)自死遺族ケアのためのナラティヴ・ワークブック開発の試み(研究代表者)
- 基盤研究(B)自殺への許容性についての心理学的検討と予防的介入(研究分担者)
家族以外の続柄での自死の経験や、SNSを通じた自殺情報への暴露が及ぼす影響、また自死遺族のグリーフとスティグマを測定する尺度の開発などに取り組んでいます。
関連文献:
- 杉⼭陽⾹・国広歌⾳・川島⼤輔 (2023). メディアを介した⾃殺情報への接触経験の実態調査 日本質的心理学会第20回大会プログラム抄録集(立命館大学), 89.